ジャック・ゲランが1933年に創った今作は、あらゆる香りの系統を超え、香水全体を通じた名香として認知され、現在に至っています。基調はオリエンタル・ウッディ・スパイシー。ベルガモットが香り立つトップ。ガルバナムが穏やかな甘さを広げるミドル。そしてウッド、スパイス類、アイリス、水仙、バニラなどが寄り添い、深い感情を生み出すラスト。気高く、かすかに童心を垣間見せるその調香の妙は、確実に芸術の域に到達しています。意匠を凝らした格調高いボトルも見事。部屋の片隅に佇んでいるだけでも存在感を発揮する、そんな香水です。
次へ